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2019年9月9日(月曜日)

コーデックス:アジア地域調整部会における今後の課題(2019.9)

2019(令和元)年9月9日(月)、第89回コーデックス連絡協議会が中央合同庁舎4号館において開催され、その議事概要及び資料が公表された。

内容は、① 最近コーデックス委員会で検討された議題(第42回総会(CAC))及び、② 今後の活動について(第21回アジア地域調整部会(CCASIA))である。この内、注目すべき議題は、2019年9月23日(月)~ 27日(金)にインドのゴアで開催される、第21回アジア地域調整部会における議題9,10,11,12である。

アジア地域調整部会における今後の課題

仮議題 9. コメを原料とした低アルコール飲料(にごりタイプ)の地域規格の策定に関する討議文書・プロジェクトドキュメント

前回会合において、韓国がマッコリの地域規格作成を提案したが、各国からの意見を受けて、より包括的な規格とするため、規格のスコープ(対象範囲)を「コメを原料とした 低アルコール飲料(にごりタイプ)」に拡大することになった。また、アジア地域内におけるその他の類似の製品と、提案された作業が対処することを意図している食品安全上の問 題及び貿易障壁、さらに各国の規制の多様性及び規格化への適性を含めた「作業の優先順 位付けのための規準」において要求されている全ての情報を討議文書・プロジェクトドキ ュメントに含めることとし、今次部会に修正した文書を提出することとなった。

しかしながら先般コーデックス事務局より、本議題に係る作業文書は回付されない旨ア ナウンスされたため、今次部会において本議題は議論されない予定。

(対処方針) コーデックス事務局あるいは提案国の韓国から、作業文書が回付されなかった理由を聴取したい。また今次部会で本件に関連する議論が行われることが提案された場合、次回部会での議論を提案する等今次部会で議論が行われることのないよう対処したい

仮議題 10. バチルス属( Bacillus species)を使って発酵させた大豆製品の地域規格の策定に関する討議文書・プロジェクトドキュメント 

前回部会において、「納豆」の地域規格化に向けた提案に関しては、①類似の大豆発酵食品についても納豆と同様に地域規格化のニーズがあり得ること、②類似の大豆発酵食品も含めた地域規格化への期待が各国・関係者から日本に寄せられたこと等を踏まえ、日本は新たな提案として、納豆単独ではなく、枯草菌( Bacillus subtilis )を使って発酵するアジア地域における類似の大豆発酵食品を対象とする包括的な地域規格化を提案した。

議論の結果、日本は、アジアの関心国と協力して、「枯草菌( Bacillus subtilis )を使って発酵させた大豆製品」に係る新規作業を今次部会に再度提案することになった。 前回部会以降、日本は関心国(ブータン、中国、インド、インドネシア、ネパール、 韓国、タイ)とともに非公式な電子作業部会を設置し、関心国から提出された類似の大豆 発酵製品に係る情報を整理した。その結果、類似の製品をより包括するため、発酵を行う 微生物を枯草菌に限定せず、「バチルス属( Bacillus species)を使って発酵させた大豆製品」を対象とする地域規格の作成を提案することとした。当該規格は、納豆の他、チョン グッチャン(韓国)、トウチ(中国)、キネマ(ネパール)が該当する見込み。今次部会では日本が提出した「バチルス属( Bacillus species)を使って発酵させた 大豆製品」の新規作業提案にかかる討議文書及びプロジェクトドキュメントに沿って議論が行われる。

(対処方針) 日本の提案が承認されるよう、メンバー国に対して提案内容を説明する等対処したい。 また、新規作業の開始に合意される場合、第 43 回コーデックス総会での承認を条件として、 電子作業部会により規格原案の策定作業を進めることを提案し、日本が議長を務める意思を表明することとしたい。

仮議題 11. 急速冷凍餃子(Jiaozi)の地域規格の策定に関する討議文書・プロジェクトドキ ュメント

前回部会において、中国から、急速冷凍餃子(Jiaozi)の地域規格の新規作業が提案され たが、議論の結果、今次部会での議論に向けて、中国は、国内法令の多様性、食品安全上 の問題、貿易障壁、規格化への適性(Amenability)など、手続きマニュアルにある「作業の優先順位付けのための規準」において要求されている全ての情報を討議文書・プロジェクトドキュメントに記載・修正することになった。 今次部会では、中国が再度提出した急速冷凍餃子(Jiaozi)の新規作業提案に関する討議 文書・プロジェクトドキュメントに沿って議論が行われる。プロジェクトドキュメントで は、各国の類似製品として日本の餃子、ベトナムのバンボロック、韓国のキムチ餃子、ロシアのペリメニ、ネパールのモモが記載されている。

(対処方針) 日本において当該品目の貿易上及び食品安全上の支障が生じておらず、また改訂版の 討議文書・プロジェクトドキュメントにおいて規格策定の必要性が不明確であることから、 作業開始には精査が必要との立場で、当該品目の五本における流通及び貿易に支障が生じないよう対処したい。

仮議題 12. ちまき(Zongzi)の地域規格/実施規範の策定に関する討議文書・プロジェクトドキュメント

前回部会において、中国から、ちまき(Zongzi)の地域規格の新規作業が提案されたが、 議論の結果、今次部会での議論に向けて、中国は、国内法令の多様性、食品安全上の問題、 貿易障壁、規格化への適性(Amenability)など、手続きマニュアルにある「作業の優先順 位付けのための規準」において要求されている全ての情報を討議文書・プロジェクトドキ ュメントに記載・修正することになった。また、この製品のための実施規範の作成がより 適切かどうかもあわせて検討することになった。 今次部会では、中国が再度提出したちまき(Zongzi)の新規作業提案に関する討議文書・ プロジェクトドキュメントに沿って議論が行われる予定。なお、ちまき(Zongzi)の国際的 な貿易障壁の撤廃に実施規範のみで対応するのは困難として、地域規格の作成を提案して いる。またプロジェクトドキュメントには、各国の類似製品として、日本、ベトナム、フ ィリピン、タイ、マレーシアのちまきが記載されている。

(対処方針) 日本において当該品目の貿易上及び食品安全上の支障が生じておらず、また改訂版の 討議文書・プロジェクトドキュメントにおいて規格策定の必要性が不明確であることから、 作業開始には精査が必要との立場で、当該品目の日本における流通及び貿易に支障が生じないよう対処したい。

何れも、当該品目の日本における流通及び貿易に支障が生じないよう対処する必要があり、注視したい。


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