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2021年12月9日(木曜日)

EUにおけるFOP規則に関する意見公募

欧州食品安全機関(EFSA)は2021年11月15日、食品に関する栄養及び健康強調表示を制限するための調和のとれた義務的な容器前面栄養表示の開発及び栄養プロファイルの策定について助言する科学的意見書案を公表し、2022年1月9日を締切りとして意見公募を開始した。

欧州委員会(EC)からの要請を受けて、EFSAの「栄養、新食品及び食品アレルゲンに関する科学パネル(NDA)」は、2021年11月15日、食品に関する栄養及び健康強調表示を制限するための調和のとれた義務的な容器前面栄養表示の開発と栄養プロファイルの策定について助言する意見書(Scientific Opinion advising on the development of harmonised mandatory front-of-pack nutrition labelling and the setting of nutrient profiles for restricting nutrition and health claims on foods)案を公表し、2022年1月9日を締切りとして意見公募を開始した。

本意見書案は、栄養学的に適切な食事に関するヒトの試験のシステマティックレビューとメタアナリシス、世界疾病負担(Global Burden of Disease) の枠組みから得られるデータ、臨床診療ガイドライン、以前のEFSAの意見書、EU加盟国が食品に基づく食事ガイドラインと関連する栄養素/食品摂取の勧告に基づいて設定した優先事項に基づいている。

NDAパネルは、ほとんどの欧州集団において、飽和脂肪酸(SFA)、ナトリウム及び添加/遊離糖類(added sugars)の食事摂取量は現行の食事推奨量を上回り、食物繊維及びカリウムの摂取量は現行の食事推奨量を下回っていると結論付けている。飽和脂肪酸、ナトリウム及び添加/遊離糖類の過剰摂取、及び食物繊維とカリウムの不十分な摂取は健康への有害影響に関連するため、これらの栄養素は栄養プロファイリングモデル(nutrient profiles)に含めることができる。エネルギー摂取量の低減は欧州集団にとって公衆衛生上重要なため、エネルギーを同モデルに含めることが可能である。

食品グループ/カテゴリーに基づく栄養プロファイリングモデルでは、ほとんどの食品グループにおいて脂肪のエネルギー密度が高いため、総脂肪がエネルギーの代わりになる可能性がある。一方、脂肪含有量が少ない、又は全くない食品グループのエネルギー密度は、添加/遊離糖類をモデルに含めることにより十分に説明可能である。栄養素及び非栄養成分は、公衆衛生上の重要性以外の理由で、同じ食品カテゴリー内の食品をよりよく識別できるようにするために、栄養プロファイルに含めることが可能である。

https://connect.efsa.europa.eu/RM/s/publicconsultation2/a0l1v00000E877g/pc0108

背景: 農場から食卓まで戦略Farm to Fork Strategy

欧州委員会(EC)は、2020年5月20日、欧州連合(EU)の今後の食品行政の大きな方向性を示した「農場から食卓まで戦略(Farm to Fork Strategy)」を発表した。同戦略は、2019年12月に発表された「欧州グリーン ディール政策(The European Green Deal)」を食品産業の分野に関してより具体化し、同政策の中核を成すものとして位置付けられ、「環境」、「持続性」といった価値を従来重視してきたEU食品行政のポジションを一段と明確化し、今後の対応を加速化するものでもある。

同戦略は食品事業者・業界に対して、環境フットプリント(環境負荷)を削減するための道筋を示す対応を求めている。例えば、健康的で持続可能な食品の選択肢や、安価で入手しやすいものを増やすこと。また、エネルギー効率の強化、社会的弱者や健康面で不安を抱える人のニーズをくみ取ったマーケティング戦略に改めること。梱包の削減は、新しい循環経済行動プランに即したものにする必要がある。といった対応である。具体的には、

 ・欧州委員会(EC)は、脂肪や糖、塩分の多い食品の販売促進を制限するために「栄養プロファイル(Nutrient Profiles)及び食品包装前面(Front of Pack:FOP)での栄養素表示の制度」の導入を検討することなどに取り組むとした。
・栄養プロファイルとは、栄養構成に応じて各食品をスコア化し、一目でその食品の健康レベルや栄養レベルが分かるようにするものであり、EUでは、2006年に食品の栄養や健康に関する強調表示に関する「欧州議会・理事会規則No.1924/2006」が成立した際、2009年1月までに栄養プロファイル制度を導入することとされた。

  このため、EUとしては、栄養プロファイル及びFOPの域内共通ルールを早急に作成する必要があり、2022年第4四半期までに域内共通の栄養プロファイル及びFOP制度を法制化するとした。

同戦略に基づき、2020年12月14日、欧州委員会(EC)は欧州食品安全機関(EFSA)に対し、食品に関する栄養及び健康強調表示を制限するための調和のとれた義務的な容器前面栄養表示の開発と栄養プロファイルの設定について助言する意見書を提出するよう依頼した。


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