欧州での乳幼児向け市販補助食品の不適切な販売実態
世界保健機関 WHO/Europeが発表したところによると、欧州において乳幼児向けの離乳食の多くが、6か月未満の乳児にも適すると誤って販売されており、その多くが不適切な高濃度の糖分を含んでいるという。
WHOは、欧州での市販の乳幼児向け補助食品の不適切な販売促進終了を提言
2019年7月に、WHOから ヨーロッパで市販されている乳幼児向け補助食品の不適切な販売実態報告書、及び 6-36か月齢の乳幼児のための栄養プロファイルモデル(草案)の2つの研究レポートが発表された。
報告書によると、市販の補助食品(Commercially Available Complementary Foods : CACF)の中には公衆衛生上の食事に関する推奨事項を支持しておらず、WHOの推奨する食品導入年齢を遵守していないという認識が高まっているという。
WHOが報告書で提起しているCACFに関する主な問題点は以下のものがある。
- 多くのCACFは、甘く、野菜や他の果物の風味を覆い、ピューレにされおり、子供の食べ物の食味や食感についての学習に悪影響を及ぼす可能性がある。
- また、いくつかのCACFの高ナトリウム含有量、添加糖および総糖含有量、ならびにそれらの脂肪酸プロファイルについても懸念があり、これは国際および国内の食事および栄養ガイドラインと一致しない可能性がある。
- 製品の組成、包装、販売促進に関する規制は、不適切なCACFを36ヶ月までの乳児や幼児向けに販売することを許可しているため、不十分と考えられる。
実際に、2017年11月から2018年1月にかけて、欧州地域4都市(ウィーン、ソフィア、ブタペスト、ハイファ)の516店舗から乳幼児向けとして販売されていた7,955件の食品、飲料製品のデータを分析したところ、 3つの都市では、半数以上の製品が総カロリーの30%以上の糖分を含んでいた。約3分の1の製品は糖分、濃縮果汁またはその他の甘味料を成分としてリストしていた。これらの香料や糖分は子供の甘い食品への好みを助長して、味覚嗜好の発達に影響する可能性がある。 天然の糖分を含む果物と野菜のような食品は乳幼児に適しているけれども、ピューレ仕立ての市販製品中の高濃度の遊離糖もまた懸念材料となっている。
上記の結果、世界保健総会の加盟国からは、乳児や幼児向けの不適切な食品の宣伝をやめるように求められている。
乳幼児のための栄養プロファイルモデル(草案)は、推奨されるWHOのステップを踏んで開発されており、いくつもの資料(文献レビューを含む)からのデータに裏打ちされている。そのため、今後、EUやコーデックス委員会において議論が進み、将来何らかの規制がヨーロッパなどで発令される可能性がある。
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